FACE理論とは

 FACE理論は、多くの人材育成プログラムの基礎的な考え方である「選択理論心理学」を応用し、人間の瞬間的な思考を改善することでより良い選択を 行うようにする事を目的としています。今回はこのFACE理論と、その背景にある選択理論心理学についてご説明します。

目次

1.選択理論心理学とは
2.FACE理論とは
3.FACE理論の特徴「思考は変わる」


1.選択理論心理学とは

 FACE理論の説明の前に、選択理論心理学について簡単にご紹介します。この理論は精神科医であるウィリアム・グラッサー博士が多くの臨床経験を通して作り上げた「より良い人間関係を築くための心理学」です。 この理論ではいくつか重要な考え方が含まれているのですが、 今回はFACE理論に関連した所のみをご紹介します。

 選択理論では人間の行動の要因を4つの区分で捉えます。これは車の車輪に例えられています。この4つのうち前輪のみが コントロール可能であるとされ、自分がどう思考するか、どう行為を行うかに集中することで理想の未来へ自分を運ぶことができると述べられています。

 例えば「自分がこの辛い仕事をするのは上司に言われたからだ」というのは、自分の行動の原因を相手に求めるものであり自分ではコントロールできません。一方、 「自分はこの仕事で多くの経験ができるので、この仕事をすることを選んだ」のであり「そう思わないのであれば、仕事を拒否することも、 もっと良い仕事を探すこともできる」というように、捉え方を自分中心に変えることもできます。このように自分の人生を選択(コントロール)していこうというのが選択理論の考え方です


2.FACE理論とは

 FACE理論は選択理論に対してひとつの問を立てたことから始まります。選択理論を実行する際、本人が賢明な判断ができない場合にはどうなるでしょうか。 ドライバーの願望の向かう先が例えば崖であれば、本人の行動は悪い結果を生み出します。 FACE理論では思考のバランスと内容が優れていれば、より正しい行動に結びつくと考えます。多くの場合、人間は直感で行動しており直感はこれまで経験してきた行動パターンや本能に基づいています。 この思考のバランスを良くすることで良い行動を生み出すというのがFACE理論の基本的な考え方です

 FACE理論のFACEは以下の言葉の頭文字から来ています。
Fact Action Communication Emotion

 この思考バランスを取り出すには、90秒で特定のテーマについて思い浮かぶ単語を思い浮かべ、その意味に応じて4つに分類し、その比率に応じてタイプ判定を行います。比率とタイプの関係については、 FACE理論の創設者である当社取締役眞邊の人材育成経験に基づいてパターン化されています。特に理想的思考と言われる、Factが多く、Action/Communication/Emotionが バランスよく存在するタイプはハイパフォーマンスな人材に共通する思考バランスです。Factが多いということは自分なりの揺るぎない判断基準があるということであり、 論理的で再現性のある判断を行う事ができます。また判断を間違えた場合でも改善することができます。


3.FACE理論の特徴「思考は変わる」

 FACE理論の特徴は、人間の思考は「変わる」という前提に立っていることです。性格診断のように「あなたは○○タイプです」と言って、その診断結果に囚われ、その人の思考を縛り付けることはしません。 あくまで瞬間的な思考傾向は○○タイプであるものの、それはトレーニングによって変えられる事が可能であり、状況に合わせて変化させる事が良い行動を生むと考えています。 昨今の発達心理学の研究においても、人間は年齢によらず知性は高められる事が分かっています。客観化ができれば、後は強化学習により考え方を修正していくことは可能です。

 血液型診断や性格診断が流行している現在ではなかなか受け入れられないかもしれませんが、環境が劇的に変わる時代においては、思考のあり方も適切に変えていくという事が求められています。 例えば安定的な仕事をしていたが、会社の方針変更で新規事業を担当するようなことになった場合、Factが多かった思考からEmotionの多い思考に変えていく必要があります。 不確実性と向き合うためにはアンラーニングが必要であり、過去のFactを捨て、新しいFactを発見するためのEmotionが必要となるからです。 また、学生から社会人に生活が変わる際には、それまでEmotionで生きてきた方も、否応無しにCommunicationを思考に入れていく事が求められます。

 当社が提供している思考可視化ツール「KOTSU」はこのような環境変化に合わせた思考変革をサポートすることを目的としてサービス提供を行っています。